ファッション
ベビー服市場の需要動向を分析|商品企画担当者が押さえたい購買行動と求められる価値
今回の記事では、主にベビー服メーカーの商品企画担当者やMDの方向けにベビー服市場の需要動向と購買行動の変化を整理します。出生率や国内市場の傾向を踏まえながら、商品企画時に確認したいポイントまで具体的にまとめていますので、次の商品企画や副資材選定の参考としてご活用ください。
少子化時代のベビー服市場はどう変化しているのか
少子化が進む日本市場でのベビー服需要
日本では世界的に見ても出生率の低い年が続いています。出生率が低い国では、購入対象となる子どもの数が限られるため、販売数量は伸びにくい傾向がありますが、1人の子どもにかける支出が相対的に高まりやすい市場では、高単価・高付加価値商品の需要が生まれる可能性があります。
ただ、近年の日本では、物価上昇が続く一方で実質的な家計の余裕は大きく改善しておらず、消費者の節約志向が定着していますので、必ずしも高単価・高付加価値な商品が選ばれやすいとはいえません。日常生活に欠かせない支出が増えていることから、衣料品や趣味性の高い商品については慎重に選ぶ消費行動が広がっています。
一方で、ベビー用品やベビーアパレルに関する各種調査では、品質や安全性を重視する保護者が多いことが示されています。
『出典:株式会社NEXERと株式会社CAV-「ベビー用品の素材・安全性への意識に関するアンケート」調査|Organically(オーガニカリー)』
高品質を求めながらも価格に対する意識が高いと考えられるため、保護者は価格と品質のバランスを重視し、いかにコストパフォーマンス(以下、コスパ)が高いのかという視点で商品を比較している可能性があります。
保護者はどのような流れでベビー服を購入しているのか
コスパの高さが注目される現在、消費者は多くの商品を比較しながら、自分にとって納得できる価値があるかを見極める傾向があります。特にベビー服では、価格だけでなく、肌ざわり、安全性、着脱のしやすさ、洗濯への強さなども比較対象になりやすいため、購入前に得られる情報の質が重要になります。
そして、SNSが普及している現在、ベビー服の購買行動は次のような流れで進むケースが増えていると考えられます。
「①SNSで発見・情報収集 → ②口コミ・レビューで購入検討 → ③品質や利便性の詳細確認 → ④実店舗またはECで購入」
もちろん商品の種類や価格帯にもよるため一概には言えませんが、このように推測できる理由を次に説明します。
①SNSで発見・情報収集
実際にベネッセ教育総合研究所によると、母親のメディア嗜好として、8割以上が「インターネットで情報を取り入れるのが好きである」と回答しています。
『出典:ベネッセ教育総合研究所-乳幼児期から小学校低学年の親子のメディア活用調査-2025年3月実施-』
この初期段階では商品の詳細よりも、ぱっと見で伝わるデザインや商品の一番の訴求ポイントが簡単にまとめられているものを見て、興味を持てるかどうかという最初の関心獲得のポイントになると考えられます。
②口コミ・レビューで購入検討
次に、良質な口コミがどれだけ集まっているかが購入検討を左右する要素となります。
2025年コズレ子育てマーケティング研究所の調査によると、マタニティ/育児用品・サービスの口コミを参考にするかという設問で、約88%が参考にしていると回答しています。
『出典:コズレ子育てマーケティング研究所-妊婦/乳幼児ママが信頼する情報源とは?SNSと口コミ活用実態』
このようなことから、いかに良質な口コミを獲得できるかという点も、戦略上重要なポイントといえます。
一方で、一部のラグジュアリーブランドでは、口コミよりもブランドストーリーや世界観によって価値を伝えるケースもあります。
したがって、展開するブランドの立ち位置も考慮する必要があります。
③品質や利便性の詳細確認
先述したとおり、コスパが重視される社会では、消費者が商品の特徴や品質、機能性、素材、使用シーンなどの情報をある程度細かく確認してから購入する可能性が高いと考えるのが自然です。
ただ、単純に情報量を増やすだけでは逆効果になることもあるため、サイズ・素材・肌ざわり・使用シーンなど、実際に使用しているイメージが明確に伝わり、購入判断に直結するような情報を充実させることが重要です。
そのうえで訴求すべき優先順位をつけて、伝える順番や目立たせ方にメリハリをつけることで、消費者は購入の判断をしやすくなります。
④実店舗またはECサイトで購入
ここまで情報を揃えた状態で、最終的にはそのままECサイトで実物を見ずに購入するか、もしくは目星をつけた状態で実店舗へ足を運び、実際のサイズ感や肌ざわりを確認したうえで購入するという流れになります。
後者の場合は、事前情報と実物のギャップが大きいと離脱につながります。前者の場合でも、購入後に届いた商品と事前情報のギャップが大きければ、リピートしてもらえる可能性は低くなり、返品される可能性も考えられます。どちらの場合でもブランドの価値を高く保つためには、下記のような理由から、ギャップを限りなく小さくすることが望ましいと考えられます。
- 実物の方が良いと感じられる場合
→ 事前情報で商品の魅力を十分に伝え切れていない可能性がある - 実物の方が期待を下回る場合
→ 事前情報で過剰なPRをしていたり、商品の魅力が実際以上に伝わっていた可能性がある
実店舗とECサイトの両立が主流になってきている昨今では、商品のアピールの仕方や説明すべき内容とその優先順位など、それぞれに合った戦略を明確にしておくことも重要なポイントです。
購買プロセスについてのまとめ
現代の国内ベビー服市場では、以上のような購買プロセスが主流になりつつあると考えられます。したがって、商品そのものの設計はもちろん重要ですが、それぞれのプロセスに応じた適切なアプローチや、購入までのスムーズな導線設計を行うことも非常に重要です。
特に価格帯が高くなるほど、消費者は情報収集や比較検討をより慎重に行う傾向があるため、各プロセスにおける対策を丁寧に行わなければ選ばれにくくなる可能性があります。
また、これまでの調査からは、「コスパ」が共通して重視される要素となる可能性が高いことも見えてきました。そのため商品企画の段階から、消費者がどのような基準で比較・判断するのかを意識しながら、品質・利便性・価格のバランスを設計していくことが求められるでしょう。
そこで次に、国内向けのベビー服を企画する際にチェックしておきたいポイントを整理しました。
ベビー服の商品企画で確認したい12のチェックポイント
ここまでの調査を受けて、国内向けのベビー服に関する商品企画時に、チェックしておきたいポイントを一覧にしましたので、参考としてご活用ください。
- 商品の価格帯、ターゲット、ブランドポジションを明確に定義できているか。
- ターゲットとなる保護者の価値観(安全性重視、デザイン重視、価格重視など)を把握できているか。
- 低~中価格帯の商品において、品質と価格のバランスが取れた「コスパの良さ」を訴求できているか。
- 実物と事前情報にギャップが生まれないか。
- SNSで一目見たときに魅力が伝わるデザインや特徴があるか。
- 素材・機能・使用シーンなどの情報を十分に用意できているか。
- シーンごとに伝えるべき情報の優先順位をつけられているか。
- 口コミが集まりやすい特徴や体験価値があるか。
- 保護者が「人に勧めたくなる理由」を持たせられているか。
- 着脱しやすい仕様になっているか。
- 汚れや洗濯に対する耐久性はあるか。
- 保護者が日常的に触れるパーツの安全性や操作性まで考慮できているか。
まとめ
少子化が進む日本のベビー服市場では、販売数量の拡大だけでなく、品質・安全性・利便性・価格の納得感をどう両立させるかが重要になっています。保護者はSNSや口コミで情報を集め、素材や機能性、使いやすさを確認したうえで購入を判断するため、商品企画の段階から「選ばれる理由」を明確に設計することが求められます。
特に、毎日の着替えやおむつ替えに関わる仕様は、保護者が感じる使いやすさやコスパに直結します。デザインや素材だけでなく、着脱性・耐久性・安全性を支える副資材まで含めて検討することで、商品の価値をより高めることができます。
中でもベビー服で広く使われるプラスチックホックは、着脱性や安全性、耐久性に関わる重要なパーツです。特徴や選び方を詳しく知りたい方は、あわせて以下の記事もご覧ください。
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