ファッション
なぜコンパクトシルエットが再流行?トレンドの背景とおすすめ生地
コンパクトシルエットは、オーバーサイズ一辺倒だった近年の流れから少しずつ重心が移り、現在のアパレル企画で再び注目されているシルエットです。
今回の記事では、アパレルメーカーの商品企画担当者やMD、生地選定に携わる方向けに、コンパクトシルエットが再注目されている背景と、企画時に意識したい素材選びのポイントを整理します。後半では、コンパクトシルエットと相性が良く、実際の企画にも取り入れやすい生地を紹介しますので、次のシーズン企画や素材選定の参考としてご活用ください。
なぜ今、コンパクトシルエットが再注目されているのか?
トレンドサイクルの転換
ファッション業界では、過去のスタイルが時代に合わせて再解釈され、およそ20年周期で再び注目される傾向があるといわれています。いわゆる「20年ルール」と呼ばれる考え方です。
この考え方は、ノースウェスタン大学の研究チームによっても調査が行われており、『1869年から現在までの女性服約3万7000枚の画像を分析した結果、流行は人気が高まり、廃れ、そして最終的に再び流行するというサイクルを繰り返すことが分かった』と示されています。ただし、近年は同時に多様なスタイルが存在し、過去ほど一つの傾向に収束しにくいことも報告されています。
『出典:米ノースウェスタン大学- Bell-bottoms today, miniskirts tomorrow 』
ランウェイに見るシルエット提案の変化
2021年と2026年における世界的なブランドのランウェイをそれぞれ確認したところ、コンパクトなシルエットを意識した提案が増えているように見受けられます。これは、市場全体を数量的に調査した結果ではありませんが、シルエットの変化を考える一例として参考になります。
ただし、2010年代半ばに流行した全身を細く見せるシルエットとは異なり、現在のスタイルは一部にゆとりやボリュームを持たせているものもいくつか見られる点が印象的です。
このように、影響力の大きいブランドがコンパクトなシルエットを取り入れる流れが続くことで、アパレル市場の企画や商品提案にも少しずつ影響を与えている可能性があります。
また、Googleトレンドで日本における「ビッグシルエット」の検索関心度を確認すると、設定した2012年から2026年の範囲では、2022年頃以降に相対的な低下傾向が見られました。ただし、この結果だけでコンパクトシルエットが主流になったとは判断できませんので、シルエットへの関心が変化している可能性を示す、参考指標の一つとしてご紹介します。

出典:Google Trends
検索語:ビッグシルエット
地域:日本
対象期間:2012年9月1日から2026年9月1日
取得日:2026年9月14日
ショート丈とワイドボトム(Aライン)の組み合わせ

国内のコーディネート投稿サービスを確認すると、コンパクトなトップスとワイドボトムを組み合わせたAラインのスタイルも多く見られます。
理由として考えられるのは、トップスだけをコンパクトにするスタイルは、ビッグシルエット中心の着こなしからも移行しやすく、大きな違和感なく今らしいバランスを取り入れられるということです。また、ワイドボトムは下半身のラインを拾いにくく、体型を問わず取り入れやすいため、コンパクトなトップスとの組み合わせが支持されている理由の一つと考えられます。
コンパクトシルエットに必要な生地の条件

完全な細身化というよりは、身体の動きに追従しながら自然なラインや一部のゆとりを作ることも重視されているように思います。そのため、「身体に沿わせながら着心地を確保する素材・設計」と相性が良いと考えられます。
適度な「張り・コシ」(ハリ感)
コンパクトシルエットでは、ハリ感とストレッチ性のバランスが重要です。シルエットを保つためのハリと、着心地を確保するための伸縮性を両立できる素材ほど、立体感と快適性を両立しやすくなります。
ストレッチ性とリカバリー性
身体に近いシルエットほど、着心地を左右するのがストレッチ性です。ただ伸びるだけでなく、着用後に元の形へ戻るリカバリー性も確認したいポイントです。
動きやすさとシルエットの維持を両立できる素材ほど、コンパクトな設計でも快適性を確保しやすくなります。試作では、腕の上げ下げや着座、屈伸などの動作後に、肘や膝、腰まわりへ膨らみやシワが残らないかを確認します。
薄さ・軽さと厚みのバランス
短丈や小さな分量の服では、生地の厚みや重量が、裾の落ち方や身体からの離れ方に表れます。軽量素材は軽快な外観を作りやすい一方、薄すぎると身体のラインや縫い代が表に響くことがあります。
目付だけで判断せず、厚み、透け、縫い代の当たり、芯地や裏地を含めた総重量まで確認することが大切です。
シワになりにくい形状保持性
身体に近いシルエットの服は、お腹まわりや肘、膝などのシワや型崩れが目立ちやすくなります。そのため、ハンガーに掛けた状態だけでなく、着用後の見え方も確認することが重要です。
着座や屈伸の後でもシルエットを保ちやすい素材ほど、すっきりとした印象を維持しやすくなります。
コンパクトシルエットにおすすめな生地について
ここからは、これまで整理した条件などを踏まえ、コンパクトシルエットの企画に取り入れやすい生地を紹介します。用途ごとの相性を確認しながら選定することがポイントです。
なお、以下の内容は掲載仕様や素材特性をもとにした企画上の選定例です。最終的な用途適性や仕上がりは、生地サンプルと縫製サンプルでご確認ください。
S7003 高密度スーパーウェポン

【向いている服】
ショート丈のブルゾン・コンパクトジャケット、ワークトップス
【理由】
ストレッチ性はありませんが、綿の高密度織りによるしっかりとしたハリがあり、短い丈でも輪郭を出したい際の候補になります。(肩や裾の立ち方は、縫製サンプルでの確認が必要です。)輪郭のはっきりしたショート丈ブルゾンやコンパクトジャケットに向いており、上半身側をすっきり見せたい場合に相性が良い生地です。
詳細リンク→https://www.kajitech.online/product.php?id=112
SBWN4480 30D高密度タフタ シレー撥水

【向いている服】
軽量な圧縮系ブルゾン、コンパクトなナイロンジャケット、マウンテンパーカーのショート丈版
【理由】
目付48g/m²と軽量なため、短丈ブルゾンやコンパクトなアウターを企画する際の候補になります。高密度タフタならではのハリもあり、「軽さ」と「シルエットの出しやすさ」を両立しやすい素材です。撥水機能も備えているため、季節の変わり目に使うライトアウター企画にも展開しやすい生地です。
詳細リンク→https://www.kajitech.online/product.php?id=108
SBWN6270 リラクシング・メランジツイル 2WAYストレッチ撥水

【向いている服】
身体に沿うトップス、シャツジャケット、軽量ジャケット
【理由】
2WAYストレッチにより、身体の動きに追従させたい場合に検討しやすい素材です。目付177g/m²の中肉厚で、薄すぎず重すぎないため、きれいめなトップスやライトアウターでもラインを保ちやすいバランスがあります。
詳細リンク→https://www.kajitech.online/product.php?id=114
C1964 スタプレツイル

【向いている服】
ジャストサイズのイージーパンツ、きれいめスラックス
【理由】
ストレッチ繊維は入っていませんが、ポリエステル素材らしい取り扱いやすさと、シワが目立ちにくいのが特徴です。コンパクトなバランスのボトムでも着崩れしにくく、コストを意識しながらきれいめな印象を出したい企画に向いています。
詳細リンク→https://www.kajitech.online/product.php?id=105
まとめ
近年のビッグシルエットからコンパクトシルエットへの回帰では、2010年代半ばとはまた異なる適度なコンパクトがポイントと考えられます。
そのため、企画段階では素材のハリ感やストレッチ性、軽さ、形状保持性などを考慮し、デザインだけでなく着用時の快適性まで含めて生地を選ぶことが大切です。
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